1.クロムーコバルトーニッケル系合金の活量測定を行った。すなわち、すでに行ったニッケルとクロムの原子比が1:1および1:3の組成線上の測定に加えて、ニッケル:クロムが5:3および7:1の組成線上での測定を行った。筆者らが先に求めたクロム、コバルト、ニッケルを含む各二元系での活量係数測定結果を、各二元系の活量係数から三元系内の活量系数を推定するToopの方法に適用したところ、推定値はニッケル濃度の高くない領域では実測値とよく一致するが、ニッケル高濃度域ではあまり良い一致を示さないことが伴った。 2.イオン強度熱分析法により銀ーマンガン合金の状態図の検討および、鉄ータンタル合金の状態図の検討に関する補足実験を行った。 3.炭素飽和鉄ーコバルトおよびー亜鉛溶融合金のコバルトおよび亜鉛の活量測定を行った。従来炭素に関する相互作用係数の測定では、炭素の活量あるいは溶解度に及ぼす第三元素の影響の測定は行われているが、第三元素の活量に及ぼす炭素の影響の実測例は比較的少なく、その値は前者から換算されたものが多く報告されている。本実験の結果コバルトに対する炭素の相互作用母系数として2.7を、また亜鉛に対する炭素のそれとして-21を得た。また液体亜鉛の溶鉄中への溶解の標準自由エネルギー変化として △G°=95200-80.5Tcal を得た。これらの結果については現在なお検討中である。
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