研究概要 |
各種材料の密度は、その製造プロセスにおいも、また材料として使用する際にも必要となる重要な物性であり、他の物性に比べて一段と正確な数値が要求されている。61年度においては、固体から液体まで(あるいは液体から固体まで)連続的に密度測定が可能な膨張計法と間接アルキメデス法について、精密測定の立場から、500K以下の温度において金属・合金の密度測定を行い、また測定誤差について種々の角度から検討を加えた。更に塩,フラックスの密度測定および500〜1400Kの温度域における密度測定の問題点について検討を加えた。今年度に行った研究によって得られた知見,成果は次のとおりである。 1、細管膨張計法によって、固体・液体(273〜450K)Ga-In合金全系にわたる密度測定を行った。(1)等温密度は、加成性に対して、固体では若干(最大値1.5%)正に偏倚し、液体では若干(最大値1.7%)負に偏倚する。(2)融解時の密度変化については、Gaは増加し、Inは減少することが知られているが、Ga-33at%In近傍の組成において、融解時の密度変化が0になる。(3)測定誤差は、±0.34%程度である。 2、間接アルキメデス法によって、固体・液体In-Sn合金の密度測定を行った。(1)等温密度は、固体・液体とも加成性から若干負に偏倚する。(2)測定誤差は、±0.15%程度である。 本研究では、上記のいずれの方法に対しても基準液(密度既知の液体)としてシリコンオイルを採用したが、適切な基準液と清浄な試料を用いれば、500K以下では誤差が±0.1%以下の精密測定が可能との見通しを得た。塩類の密度測定、高温における密度測定を含めて、固体・液体の密度を連続的に精度よく測定するためには、適切な基準液の選定と清浄な試料の使用(酸化物・気泡の除去)が重要な問題である。
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