研究概要 |
金属やガラスなど種々の材料は、通常、固体状態で使用されるが、液体状態を経て製造されることが多く、そのような製造プロセスの最適化を計り高品質の材料を製造するためには、固、液両相の物性値が必要である。特に、密度は最も重要な物性であり、正確な数値が要求されている。本研究では、固体・液体の密度の連続測定を行うために、細管膨張計法と間接アルキメデス法について精密測定の立場から検討し、その結果に基づいて2、3の金属および合金系の密度を測定した。また、塩類の密度測定について検討を加えた。更に、液体金属の密度について物性物理学的な考察を行った。本研究によって得られた主な結果は、次のとおりである。 1.細管膨張計法および間接アルキメデス法による固・液密度連続測定の相対誤差は、約0.2〜0.3%である。 2.融点における液体Ga,Inの密度値は、それぞれ6.128×10^3Kgm^<-3>,7.024×10^<-3>Kgm^<-3>である。 3.InーSn合金の等温密度は、固体、液体とも加成性から負に偏倚する。 4.GaーIn合金の等温密度は、固体、液体とも加成性から正に偏倚する。 5.高温における適当な密度基準液が入手できれば、高温下での間接アルキメデス法による密度の測定誤差は、基準液の誤差と同程度と考えられる。 6.液体金属の密度の温度依存性は、原子番号に対して周期的変化を示す。固体で体心立方構造を有する金属の密度の温度依存性は小さく、固体で稠密構造を有する金属の密度の温度依存性は大きい。 7.液体金属の密度の温度依存性は、原子間ポテンシャルの反発指数と原子量の平方根との積に比例する。 8.細管膨張計法、間接アルキメデス法により固・液相の密度連続測定の際には基準液の選定が最も重要である。
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