研究概要 |
1.金箔と鉄箔の裏面に絶縁膜を介してセラミック圧電素子を張り、さらにエポキシ樹脂とシリコンシーラントで裏面を被覆し光音響シグナルおよび表面応力変化測定用電極を作成した。 2.定電位分極装置、関数発生器、オシレーター、ロックインアンプ等を組み合わせて電位変調表面応力変化測定装置を製作した。電極電位に微少交流電圧を重畳することにより電極界面で発生した微少応力変動を圧電素からの電気的信号として敏感に検出することが可能になった。 3.pHの異なる硫酸ナトリウム水溶液中における金箔電極の圧電応答曲線より、金箔電極の零電荷電位(PZC)、O【H^-】イオンの特異吸着および酸化皮膜形成について新しい知見が得られた。また、ホウ酸塩水溶液中における鉄箔電極の圧電応答は、活性溶解電位領域と不働態電位領域で著しく異なる結果が得られた。不働態電位領域では圧電シグナルは小さく、電位に余り依存しないが、不働態皮膜のカソード環元にともない、圧電応答シグナルは急激に増加する。この結果は不働態皮膜にかゝっていた電位差が皮膜の還元により皮膜/溶液界面にかかることを示唆しており、皮膜のカソード還元機構に関して新しい知見を提供している。 4.レーザー光源,光チョッパー,光学窓付電気化学セルおよびロックインアンプを組み合わせて光音響シグナル測定装置を製作した。硫酸水溶液中に浸漬した金箔電極表面に光チョッパーで断続したレーザー光を照射し、電極表面に発生した音波を圧電素子からの電気的信号として敏感に検出することが可能となった。現在、金箔電極のサイクリックボルタモグラムと光音響シグナル強度変化との対応を検討中である。今後、金箔電極表面上での酸化皮膜形成および皮膜のカソード還元過程を光音響シグナルの測定から検討する予定である。
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