研究概要 |
1, 溶接過程のガス・メタル反応を解明する目的で, 溶接雰囲気調整測置を用いてアーク溶解時の溶鋼及びチタンの窒素吸収, アーク溶接した鋼及び銅溶接金属の窒素吸収並びに酸素吸収について系統的に調べ, 以下の結果を得た. (1)ArーN_2雰囲気下でFeーCr及びFeーNi合金をアーク溶解し, 溶鉄の窒素量に及ぼす合金元素の影響を調べたところ, 窒素量はCr量の増加とともに大きく増加し, Ni量の増加とともに少し減少した. そして, 窒素吸収に及ぼす合金元素の影響の度合は平衡測定値と大きな差は無かった. (2)ArーN_2雰囲気下で純チタンをアーク溶解し, 溶融チタンの窒素量に及ぼす雰囲気及び溶解時間の影響について調べたところ, 窒素量は雰囲気の窒素分圧及び溶解時間の増加とともにほぼ直線的に増加し, かなり低い窒素分圧及び短い溶解時間でも多量の窒素が吸収された. (3)ArーN_2シールドガスを用いて銅をアーク溶接したところ, シールドガス中のN_2%の増加とともに溶接金属の窒素量が増加し, 多数の気孔を生じた. この気孔生成は, 電極線中に少量のチタンを添加することによって防げた. (4)酸素を含む雰囲気下でアーク溶接した鋼溶接金属の酸素吸収に及ぼす合金元素(Si,Mn,Si-Mn,Al)の影響について調べたところ, いずれの場合も溶接金属の酸素量は熱力学的に予想されるよりも高い値を示した. (5)以上の結果並びに溶融池温度測定結果に基づいて, アーク溶接過程での溶接金属の窒素及び酸素吸収挙動に対する熱力学的検討を行った. 2, 溶接過程のスラグ・メタル反応を解明する目的で, CaO-SiO_2ーMnO.ナ_<2.ニ>系フラックスを用いてサブマージアーク溶接を行い, 鋼溶接金属中の酸素量, 合金組成, 介在物量及び欠陥量等とフラックス組成との関係を調べ, その結果に対して熱力学的検討を行った.
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