研究概要 |
1.代表者らの合成した解離型発色団を有する14ークラウンー4誘導体18種のうちからLi^+のフローインジェクション分析に使用するのに最も適したクラウンージニトロフェノールとして、6ードデシルー6ー(2ーヒドロキシー3,5ージニトロベンジル)ー14ークラウンー4を用い、人工血清中のLi^+の定量分析を試みた。血清はNa^+(125〜175mM)、K^+(4.5mM)、Ca^<2+>(2.5mM)、Mg^<2+>(0.8mM)、グルコース(4.7mM)、尿素(2.5mM)に1mM前後のLi^+を含むもので、この試薬を用いたフローインジェクション分析によりすぐれた精度でLi^+の定量が可能となることを認めた。 2.前年度の研究で14ークラウンー4(1,4,8,11ーテトラオキサシクロテトラデカン)の6位に置換基を有するものがLi^+選択性電極のニュートラルキャリアとして実用化しうることを認めたが、今年度は新たに13位にも置換基を有する化合物7種、および12ークラウンー3(1,5,9ートリオキシサシクロドデカン)誘導体2種を合成し、混合溶液法によってイオン選択性を評価した。置換基としてはベンジル基の効果が顕著に認められた。 3.解離型で蛍光性を有する14ークラウンー4誘導体としてPー(1,8ーナフタレンジカルボキシイミド)フェノール基を有する化合物を合成し、Li^+の抽出蛍光分析試薬としての性能を検討した。その結果抽出平衡定数の比(Li^+/Na^+)は約200となり、この試薬はLi^+の蛍光分析試薬として応用が可能である。なおこの試薬はLi^+を抽出することによって試薬の蛍光が消光される。
|