研究概要 |
1.ジベンジルー14ークラウンー4をニュートラルキャリアとして用いたLi^+膜電極のNa^+に対する選択性は、K^<Pot>_<LiNa>として1.3×10^<-3>となった。この膜電極の支持体はポリ(塩化ビニル)であり、可塑剤として0ーニトロフェニルーフエニルエーテル、トリス(2ーエチルヘキシル)ホスフェート(98:2)の混合物を用いた場合、最もすぐれた結果が得られた。 2.発色団としてニトロフェノール或はアソフェノールを有する14ークラウンー4誘導体を合成し、溶媒抽出における平衝定数の比Li^+/Na^+を求めたところ、45〜240の値が得られた。合成した化合物中6ードデシルー6ー(2ーヒドロキシー3,5ージニトロベンジル)ー14ークラウンー4は最もPKaの値が小さく(4.92)、Li^+の抽出比色定量試薬としてすぐれていた。 3.2で述べた試薬をフローインジェクション分析に応用し、0〜2mMのLi^+を含む人工血清中のLi^+の定量分析を試みた。有機相としてクロロホルム、水相としてpH9.5に設定したK_2B_4O_7ーKoH緩衝液を用い、検出波長は410nmとした。その結果すぐれた精度で血清中のLi^+が定量しうることを認めた。 4.解離型で蛍光性を有する14ークラウンー4誘導体としてPー(1.8ーナフタレンジカルボキシイミド)フェノール基を有する化合物を合成し、Li^+の抽出蛍光分析試薬としての性能を検討した。その結果溶媒抽出平衝定数の比Li^+/Na^+は約200となり、この試薬はLi^+の蛍光分析試薬として応用することが可能であった。 5.2で述べた試薬を含む多孔性ポリプロピレン膜を用いて、プロトン駆動によるLi^+の濃縮を行いpHを調節することによってLi^+の能動輸送が可能となることを見出した。
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