研究課題/領域番号 |
61470072
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小久保 正 京大, 化学研究所, 助教授 (30027049)
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研究分担者 |
幸塚 広光 京都大学, 化学研究所, 助手 (80178219)
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キーワード | 生体活性 / セラミックス / アパタイト / 水酸アパタイト / 骨 / 人工骨材料 / バイオガラス / ウオラストナイト |
研究概要 |
MgO-caO-Si【O_2】-【P_2】【O_5】系の同一組成のガラス、アパタイトだけを結晶相として含む結晶化ガラス、アパタイトとウォラストナイトを結晶相として含む結晶化ガラス、アパタイト、ウォラストナイトの他にウィットロカイトを結晶相として含む結晶化ガラス、N【a_2】a2O-CaO-Si【O_2】-【P_2】【O_5】系のバイオガラス、水酸アパタイト(【Ca_(10)】【(PO_4)_6】【(OH)_2】)粉末を800°、1000°あるいは1200℃で焼結したセラミックス、アパタイトとウォラストナイトを結晶相として含むMgO-CaO-Si【O_2】-【P_2】【O_5】-【Al_2】【O_3】系及びMgO-CaO-Si【O_2】-【P_2】【O_5】-【Al_2】【O_3】-Ti【O_2】系の結晶化ガラス、以上10種類の材料の板状試料を、【Na^+】、【K^+】、【Mg^(2+)】、【Ca^(2+)】、【Cl^-】、HC【O(^-_3)】及びHP【O(^2-_4)】などのイオン濃度をヒトの血漿のイオン濃度にほぼ等しくした細胞を含まない擬似体液に浸漬し、36.5℃に保って種々の時間経過後取り出して、その表面の構造変化を、フーリエ変換反射赤外分光法及び薄膜X線回折法により調べた。その結果以下のことが明らかになった。 1.生体内で骨と自然に結合することが知られている前8種の材料は、いずれも擬似体液中で遅かれ早かれその表面に新たに自然骨類似の組成及び構造を有するアパタイト層を形成する。しかし、骨と結合しない後2種の材料は、60日経過後にもその種のアパタイト層を形成しない。従って、この種のアパタイト層の形成が、骨と人工材料との結合にきわめて重要な役割を果していると考えられる。 2.上記のアパタイト層の形成は、細胞を含まない擬似体液中においても認められるので、細胞の関与しない物理化学反応によるものである。従って、この種のアパタイト層の形成の有無を擬似体液中で調べることによって、人工材料が骨と結合するか否かを予測することができると考えられる。 3.上記のアパタイト層の形成の有無及び形成速度は、材料中のガラス相の種類や焼結温度により大きく影響される。
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