研究概要 |
1.粘土鉱物であるモンモリロナイトで修飾したグラシーカーボン電極を用いて、粘土層間での電極反応過程を調べた。(1)電解液pHの違いによる粘土層間の帯電状態の差異が、カチオン性反応種であるRu【(bpy^(3+/4+)】ならびに、アニオン性反応種であるFe【(CN)(^(3-/4-)_6)】などの電極反応挙動におよぼす効果を調べた。粘土の等電点はpH9.3であり、強酸性(pHくろ)の電解液では【H^+】が優先的に取り込まれ、カチオン性の反応種であるRu【(bpy)^(3+)】が層間に取り込まれ難くなってこのものの電極反応性が見かけ上低下する。これに対して、アニオン性の反応種はほんらいが粘土層に取り込まれないので、反応性を示さないことが分った。(2)粘土層間を反応場に用いてここに高分子層を電解的に調整する初めての試みを、ポリアニリンについて行なった。アニリン溶液に浸漬した粘土修飾電極を水洗後塩酸水溶液に浸し、アニリンの電解重合に適した条件で定電流酸化を行った。その後、この電極についてサイクリックボルタンメトリーやX線回析などにより調べたところ、粘土層間にはポリアニリンが生成しており、このものは、いわゆるポリアニリン被覆電極と同じ電気化学挙動を示すことが分かった。調整したポリアニリンを層間に固定した粘土修飾層を電極基体からはがし、層間に平行方向と垂直方向に電気伝導度を測定したが層間にポリアニリンが存在することによって予測される電気伝導性の異方性は見られなかった。ポリアニリンが切れ切れになりながら層間に固定されているものと思われる。2.平均細孔3【A!°】,5A,および9【A!°】のゼオライトを用いて修飾電極を調整し、【Fe^(2+/3+)】のレドックス反応におよぼす支持電解質の影響を調べた。平均細孔が小さくなり電解質カチオンが大きくなるほど電解電流が小さくなることを見出した。電解質アニオンについては、イオンサイズよりも種類の違いが電解電流を左右する効果があることを見出した。
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