研究概要 |
本研究は, まず出発原料である石炭タール, ピッチ類を化学的に改質, あるいは炭素化反応を制御して, 数ミクロンの真球状の炭素質粒子を得ること, 又炭素小球体の焼結特性の検討を目的として行なわれた. その結果多環芳香族系重質油またはピッチと, それと対照的な直鎖パラフィンを加圧炭化することにより粒径の均質な炭素小球体が生成することを見いだした. 炭素球体の生成機構を明らかにする目的でさきに, 開発した, 高温, 高圧^1H-NMR法を応用した. この手法が, 炭素小球体の生成機構に解明に有効であることが確認できた. この結果, 炭素小球体が高温で超臨界状態に近い密度の高いガス中で生成していることが明かとなった. 又高温, 高圧ESRを用いて炭素小球体生成時のラジカルの挙動について検討したけっかn-パラフィン/ピッチの混合重量比が大きい程, 熱分解, 重合反応時のラジカル濃度の経時変化は, 高温側にシフトすることが明かとなった. また炭素小球体製造の原料となる重質炭化水素類の組成をHPLC, GC-MS法などの方法を組合せ化合物タイプの分布として定量的表示できた. オートクレーブを用いn-パラフィンを600°C, 初圧50kg/cm^2の条件で熱処理したときに得られる小球体の径は数μm〜10μmの範囲にある. オートクレーブへの原料仕込比を調整することにより粒子径を制御できることが明かとなった. 仕込比の減少と共に粒径分布は小さい方へ移行していることが判った. このようにして得られた炭素小球体を高温電気炉において800°Cにおいて炭化した結果, 焼結が可能であることが判った. しかし大量の小球体を大学における実験室では製造出来ないので詳細な研究は今後に残されている.
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