研究概要 |
今後期待される新素材として, a)金属ーカーボン繊維, 金属ー各種ウィスカーの如き複合材料, b)機能性セラミックスを対象として考えた. a)はその製造過程で素材料の均質な混合と融着が, b)では原料粉体の混和と高密度な焼結が重要な作業上の問題点となる. 従来a)のグループの例として, AlーカーボンからなるFRMを中心に検討を行ない, この際有機アルミニウムを用いての表面処理を行なった. 今年は, Fe, Co, Ni等との複合を考えた場合の表面処理剤としての選定を行なった. Fe,Coに関しては, Fe(CO)_5, Co_2(CO)_8で充分目的が達せられるが, Ni系では, 安全性からも環状ポリエンーNi錯体を用いた. 熱分解, 金属表面へのコーティングによるぬれ性改善のためには配位子としてはシクロオクタジェンが好ましく, シクロペンタジェン, またはシクロオクタテトラエン等では, その安定性から表面処理がうまくゆかない. b)酸化物を主とする焼結体の場合は, 金属アルコキシド系で, 適切なアルキル鎖で置換基をもつものを合成した. 具体的には, Ti(OMe)_3(OC_4HgX)Zr(OEt)_3(OC_4H_8X)等のものである. これらはZrO_2の焼結の際に数%をバインダーとして加えることにより, 粒径が数μmの普通品ZrO_2を用いても, 0.数μm orderの原料と同様の程度が出ることが見出された. しかし, この方法では, 特に現在超微細ZrO_2を更に二次凝集させた. 高級レベルのものの場合, その性能を更に向上させるには至らなかった. 最後に, 複合材料の基本的な考え方からすれば, 均一に配合しやすい素材自身ができれば, それでも良い訳であり, ペロブスカイト系超電導体素材として重要な銅の酸化物を有機融媒系から, その酸化価数, 粒径を調整して作ることを試み, 0.4〜0.6μmのCuO, Cu_2Oを選択に調整することに成功した.
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