研究課題/領域番号 |
61470088
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松田 勗 九州大学, 工学部, 教授 (90037672)
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研究分担者 |
栗田 眞弓 九州大学, 工学部, 教務員
和田 冨美夫 九州大学, 工学部, 助手 (90108671)
菊川 清 九州大学, 工学部, 助教授 (60037918)
KURITA Mayumi Kyushu University, Assistant (unti July 31,1988)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | クラウンエーテル / アザクラウンエーテル / ビスクラウンエーテル / カチオン錯体生成能 / 液晶 / カチオン液膜輸送 |
研究概要 |
1.ビスクラウンエーテルの錯生成能 ベンゾクラウンエーテル、アザクラウンエーテルを組合せたビスクラウンエーテルの錯生成挙動を比較した結果、明確な"ビスクラウン効果"を示すのはビス(ベンゾクラウンエーテル)のみであり、モノアザクラウンエーテルを含む場合は、その構造の効果が錯生成能を大きく支配し、"induced fit"ならびに"lariat"効果が重要となることが明らかになった。この結論は、チオシアナート塩錯体の^<13>CーNMRやX線構造解析からも確かめることができた。 2.ベンゾクラウンエーテルを含む液晶化合物の合成と錯生成挙動 ベンゾクラウンエーテルを含む7種の新しい液晶化合物の合成に成功し、液晶形成に必要な構造因子を明らかにした。また、ピクラート塩のドーピングによって、液晶状態においてもカチオンに選択的な錯生成が起ることを確かめた。これらの化合物のうち、蛍光を示すものを用い蛍光消光を利用する新たな方法によって、液晶中におけるカチオンの錯生成定数の決定に始めて成功した。 3.クラウンエーテルを用いるカチオンの液膜輸送 7種の対アニオンとなる化合物について比較し、抽出率および輸送能に及ぼす対アニオンの重要性とそれらの構造因子を明らかにした。瞬間マルチ測光システムを利用し、今まで全く行われていない有機相中のクラウンエーテル錯体の動的挙動を調べて以下の新しい事実を見出した。クラウンエーテルでは脂溶性基の導入による輸送速度の向上は少ないが、C_<18->鎖をもつモノアザクラウンエーテルは塩酸酸性の受液相を組合せると、有機相中におけるアニオン交換(フエノラートとCl^-)および会合体の生成を起こして、輸送速度が大きく増加することが明らかになった。この新しい効果についての詳細な検討を行った結果に基づいて、従来例のない、液膜輸送に対する新しい"double cycle"機構を提出することができた。
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