研究概要 |
1.本研究は、分子量が異なり、分子量分布も狭い半屈曲性高分子として各種のコラーゲン試料を用い、準稀薄濃度領域における流動特性と熱力学的相互作用係数の検討から、半屈曲性高分子の準稀薄相に関する知見を確立し、更に稀薄及び準稀薄領域における分子形と分子間相互作用の温度依存性を検討し、コラーゲンの機能性材料としての開発に必要なデータの集積を目的とする。この目的を達成するため、次の(1)〜(3)を計画した。(1)粘度法と沈降速度法を用い、流動特性と濃度との定量的関係を確立する(2)光散乱法と沈降平衡法を用い、準稀薄領域における熱力学的相互作用と濃度との定量的関係を確立する。(3)粘度法,光散乱法,沈降法等を用い、稀薄及び準稀薄領域における分子形や分子間相互作用と濃度との関係を確立する。 2.61年度中における研究の進展状況:当初の計画に則り、ほぼ順調に進展しつつあるが、各部門の達成度を子細に点検した結果次の様にまとめられる。(1)流動特性:ほぼ計画どをり、粘性率と沈降係数の測定を実施した(2)相互作用係数:沈降平衡法による測定は、ほぼ計画どをりに進行したが、光散乱法による測定は、測定機器の較正に時間を要したため、進度は幾分おくれている(3)熱的特性:ほぼ計画どをり測定を実施した。 3.興味ある知見:いまだ充分な検討と解析を経ていないが、高分子量試料の熱変性は階段的に進行し、それに伴い、分子形も階段的に変化する可能性を見出した。この結果の一部は口頭、及び速報誌への投稿の形で発表した。
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