研究概要 |
今年度の研究で得られた成果は次のようである。 1.エポキシ基含有スチレン誘導体は水酸基含有スチレンとエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンを相関移動触媒反応により好収率で得ることができた。 2.エポキシ基含有スチレンの単独あるいはスチレンとのラジカル共重合で得たポリマーは光分解性スルホニウム塩存在下で光照射(高圧水銀灯)することにより容易に不溶化することが判った。この不溶化の反応性はポリマー主鎖とエポキシ基間の距離の増加とともに増大した。ペンダントエポキシ基の易動度の増大によると考えられる。また不溶化の反応性はエポキシ基の構造にも依存しており、メチルエピクロルヒドリンからのポリマーの方が高い反応性を示した。これはメチル基の存在でエポキシ基の反応性が増大したことに対応している。 3.エポキシ基含有スチレンとスチレン,ジビニルベンゼンのゼラチン/ポリアンモニウム塩を安定剤とした懸濁重合により、ゲル型の含エポキシポリマービーズを得ることができた。このビーズとテトラエチレングリコールをNaH又は酸触媒の存在下で反応させることによりグリコール構造を固定化することができた。この化合物は三相系下での脱離反応の有効な触媒となることが認められた。 4.エポキシ基含有スチレンとジビニルベンゼンのポリビニルピロリドンを安定剤,稀釈剤としてメチルペンタノール/オクタン系を用いる懸濁重合により、大きな表面積を有するエポキシ基含有MR型ビーズを得ることができた。次年度はこのMR型ビーズのエポキシ基と種々の化合物の反応を行ない、その生成物の機能について検討する。
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