研究課題/領域番号 |
61470105
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
隅田 弘 金沢大, 工学部, 教授 (90019703)
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研究分担者 |
加納 重義 金沢大学, 工学部, 講師 (50115226)
中本 義章 金沢大学, 工学部, 助教授 (20019772)
元井 正敏 金沢大学, 工学部, 助教授 (70019751)
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キーワード | メタクリル酸トリフェニルメチル / アニオン重合 / テトラメチルエチレンジアミン / 軸不斉ビアリル / イソタクト / 螺旋構造 / 立体選択 / リチオ化 |
研究概要 |
軸不斉なビアリル或は酒石酸から誘導される【C_2】キラルな置換基を持ったテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)誘導体を新規合成した。これらのジアミンと有機リチウム化合物とのキラルな錯体を用いて不斉要素を持たないメタクリル酸トリフェニルメチル(TrMA)をトルエン中、-78℃で重合すると光学活性なポリマーが得られる。ポリマーの旋光性は嵩高いエステル置換基がイソタクト連鎖した結果、溶液中でもポリマー鎖が一方巻に偏ったキラルな螺施構造を安定に保持できることに依っている。ポリマーは高結晶性で、重合度が約70以上になると通常の有機溶媒には溶けなくなる。重合の立体選択の度合は配位子の構造に強く依存する。配位子の【C_2】キラリティーと優先するポリマーのヘリシティーとの間には単一の立体化学的な関係が成立する。TMEDA骨格の片側のアミノ基だけに不斉修飾を施したものは、テトラヒドロフランに溶ける45〜60量体のポリマーを高収率で与え、その施光度は重合度にも依るが360°〜400°に達する。この値はポリマーがほぼ光学的に純粋な螺旋構造であることを示している。配位子の立体配置を変えて得られる+と-のポリマーは互いに鏡像体である。酒石酸誘導体に比べてビアリル置換体を用いた重合の選択性が高いのは、配位子が成長末端のリチウム対カチオンとより強固なスピロ環構造の錯体を形成するためであると考えられる。一方、TMEDA両側置換体は主として溶媒不溶の高重合体を生成する。この場合、重合の立体選択の方向は同一配置の片側置換体を用いた場合とは逆になる。この理由については現在検討中である。有機リチウム化合物はTMEDAと錯体を形成して活性化されることが知られている。今回用いた配位子もブチルリチウムとの錯体は溶媒のトルエンを室温で速やかにリチオ化してベンジルリチウムとの錯体に変わっていることがNMRスペクトルからわかった。従って重合はベンジルアニオンで開始することになる。
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