研究概要 |
炭酸ガスを脱着流体として用いる活性炭吸着・脱着システムによる有機物質の吸着濃縮操作に関する基礎的なデータを確立するために初年度として先ず装置の設営、運転条件の確立、予備的な脱着実験を開始した。実験装置としては超臨界抽出に用いる小型の実験装置を一部改良し、特にサンプル活性炭の脱着前後の重量の変化が正確に測定できるような構造を有するものとした。予備的な脱着実験としては細孔分布の大きく異なる活性炭2種(ピッツバーグのCAL,タケダのLS2C,ミクロ細孔容積はそれぞれ0.570,0.843cc/gであった)に対して、フェノールの水溶液吸着を行い、それから得られる吸着量の分かったサンプルを用意し、炭酸ガスによる超臨界条件の変化によって吸着フェノールがどのように脱着するかを検討した。試料として用いた活性炭、吸着後の活性炭、脱着後の活性炭の細孔分布を窒素吸着法により算出し、超臨界脱着がどの様な細孔に有効となっているかを検討した。 吸着条件は4000ppmのフェノール水溶液からの回分吸着により、吸着量としてそれぞれ253.9,337.3mg/g-carbonであり、これは細孔容積の現象としては0.348,0.374cc/gに対応していた。これらのサンプルに対して炭酸ガスの臨界条件(31.1℃,75.2kg/cm2)を超える種々の条件下での脱着実験により、脱着が効率よく行われる条件として温度70℃、圧力3000psi(約200kg/cm2)を得た。細孔回復率としては60%程度であり、よりよい脱着率を得るための条件探索には、更に吸着質、条件などを色々と変えた実験が必要となる。
|