研究課題/領域番号 |
61470113
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 肇 東大, 工学部, 教授 (90010769)
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研究分担者 |
牧島 房夫 東京大学, 工学部化学工学科, 助手 (30181613)
川上 泰 東京大学, 工学部化学工学科, 講師 (00152926)
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キーワード | モノクローナル抗体 / マウスハイブリドーマ / マウス腹腔と細胞培養系での比較 / マウス腹水 |
研究概要 |
TNP特異的モノクローナル抗体を産生しているマウスハイブリドーマを用いて、マウス腹腔及び細胞培養系での細胞増殖と抗体産生能とを比較する観点から、以下の知見を得た。1.細胞培養系に比べマウス腹腔では、細胞密度は約50倍、産生抗体濃度は約15000倍と高い。従って、個々の細胞の抗体産生能が亢進している、或いは低下していないと推定された。2.細胞培養系では、ハイブソドーマの増殖をおさえつつ、抗体産生を亢進できるpH値(約68)が存在する。3.腹水のpHは約7.53で、比較的高く維持されており、培養上清の交換により、細胞の生存率を維持しつつ抗体産生を促進できることと合わせて、宿主により環境維持が図られていることが、抗体産生能亢進をもたらしている一因と考えられた。4.腹腔浸出細胞(主としてマクロファージ)を培養系に添加した結果、ハイブリドーマの抗体産生量を約2倍に増強できる細胞群と、全くその効果を示さない細胞群が存在することが判明した。従って腹腔内では、単なる細胞間相互作用とは異なる、何らかの液性因子が作用していると考えられた。5.マウス腹腔に抗体非分泌ミエローマを注射して得た腹水を培養系に添加した結果、次のことが判明した。(1)増殖、抗体産生とも増強される。(2)培養初期・対数増殖期後期における細胞当りの抗体産生能が高めに維持される。(3)(2)の効果は、標品の凍結融解や透析では失なわれない。(4)腹水をDEAE陰イオン交換カラムで分画することにより、主として増殖を促進する活性と、主として抗体産生を増強する活性を分離できる可能性がある。(5)(4)で分画された成分には、牛胎児血清中に存在しないものもある。 今後は、連続培養を行なうための独自の装置を作成し、特に高密度培養時にいかに抗体産生能を維持できるかの条件を詳細に検討するとともに、上記腹水中の成分の解析も行なう予定である。
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