研究概要 |
1.耕種来歴の異なる本学農場(腐植質黒ボク土)を対象として、生息するVAミコリザ菌の種類と数を追いつつあるが、トウモロコシ,ムギ,カブ輪作の飼料畑では、厩肥連用の有無に拘らず、45〜620ケ/100g風乾土(径>53μm)の胞子が計測されるが、その大部分はGlomus属であり、他にGigaspora morganta及びScutellosporag regariaが見い出されるが数ケ〜10数ケにすぎなかった。多施肥の野菜畑の場合Glamus属の存在比率は低まり、後2者の高まる傾向があった。なお、Glonus属には数種のタイプが確認されたが、その同定はなお未確立である。 2.厩肥及び化成Ρ連用圃場におけるトウモロコシ及び冬コムギの生育に伴うVAミコリザの感染推移をみると、前者で最高40%、後者で50%レベルであった。茎葉部Ρ%との正相関は観察されるが、shoots乾重との相関が有意な場合、すべて負であり、両作物の圃場におけるミコリザ形成は"寿生的"と評価された。なお厩肥及びΡ共給は、全体としてVAミコリザ感染率を低下させた。 3.ポリマルチによるダイズの初期生育促進には、地温上昇→VAミコリザ形成促進→Ρ吸収著増→根粒形成促進の因果推関性の働いている可能性が示された。また、粉状木炭の作土への混入は、初〜中期のVAミコリザ形成を促進し、陰実期における継続的Ρ吸収を保証することによって、後期落葉を遅らせる実生産に貢献する。 4.上記圃場から分離したGlomus属の中で最多の種(黄褐色胞子、Y)を接種源としたポット実験によると、ダイズ、ヒヨコマメに対しては高い感染性と3〜6倍ものΡ吸収及び生育(とくに子実)促進をもたらしたが、トウモロコシ、コムギへの感染性は低く、生育への影響もわずかにすぎないという顕著な宿主特異性を示した。 5.過去3年6作の除草剤連用(有無)圃場において、非ミコリザ作物(キャベツ)の連作下ではVAミコリザ菌の衰退がみられたが、ミコリザ作物(トウモロコシ、カンショ、ラッカセイ)との輪作下では、連用圃場であったも、衰退は観察されず、むしろ増大(10〜50%)する場合のあることが示された。
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