研究概要 |
1.耐熱性微生物の分離・同定(新家担当) 兵庫県内の温泉(有馬温泉,湯村温泉,城崎温泉等)及び鳥取県,島根県の温泉から微生物を採取し、ポリペプトン,肉エキスを含む分離培地を用いて検索した。その結果、170菌株が分離され、いずれも60℃以上で生育することなどが分かった。これら菌株の諸性質について現在研究を進めているが、グラム陰性菌が多く、Bacillus stearothermophilusに近い性質を示すものが分離されている。さらに、中国の食品及び発酵工業視察時に採取した微生物資料並びに広く自然界から分離した耐熱性微生物についても同様研究を進めている。 2.耐熱性微生物のβ-アミラーゼ生産能の検出及び増強(南森・青木担当)上記分離菌株を1%可溶性澱粉を含む寒天培地に植菌し、70℃で生育するコロニーのうちヨウ素澱粉反応でハローをつくるものを分離した。さらに0.5%肉エキス,1%ポリペプトン,1%可溶性澱粉培地で70℃保温振盪培養した。それらの培養濾液をドットブロッティング法でニトロセルロース膜に吸着させ、抗β-アミラーゼIgGを一次抗体として反応させ、パーオキシダーゼラベルした二次抗体と反応せしめた後3,3′-ジアミノベンジジンで発色させた。さらに、培養濾液100mlに抗β-アミラーゼを添加しProteinAで共沈させ、その上清液の酵素活性を測定し、沈澱物についてはSDS-PAGE後ウェスタンブロッティング法で免疫反応性を調べた。その結果、ハローをつくりかつアミラーゼ活性をもつ30菌株を分離し、これらのうち免疫反応陽性酵素を分泌するものを数株菌分離した。これらの結果は4月の日本農芸化学会大会(東京)で発表される予定である。又、β-アミラーゼ生産菌Bacillus cereusBQ10-Sl Spo【II】のプロトプラス化にも成功し、既に日本農芸化学会関西支部大会(鳥取,1986年10月)で発表した。
|