研究課題/領域番号 |
61470132
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・発酵学
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研究機関 | 熊本工業大学 |
研究代表者 |
郡家 徳郎 熊本工業大学, 応用微生物工学科, 教授 (00178162)
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研究分担者 |
北田 邦雄 熊本工業大学, 応用微生物工学科, 助手 (80186246)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1987
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キーワード | 酵母 / 線状pGKLプラスミド / ヘアピン型 / 逆向き2量体プラスミド / DNA複製 / 線状ベクター / テロメア / MAT遺伝子座 / al-α2リプレッサー / プラスミド安定性 |
研究概要 |
酵母Kluyveomyces lactisから分離された線状pGKLプラスミド(pGKL1及びpGKL2)の複製・維持に関する遺伝機構を解明し、またpGKLプラスミドに基ずく人工線状ベクターを構築することを目的として実験を行った。 pGKLプラスミド保有菌(K.lactis及びSacbaromyces cerevisiae)を変異剤処理などして、pGKL変異株を分離した。このうち、K.lactisのl変異株から2ツの新しい変異プラスミド(pK192S、pK192L)が発見された。pK192S/LはそれぞれpGKL1のOEFl領域に由来するヘアピン型/逆向き2量体型の線状DNAでpGKL1に依存して複製していること、またpL192S/Lの遺伝的挙動から、ORFlはpGKLの複製に不可欠な領域(恐らくDNAポリメラーゼ遺伝子)であることが判明した。S.cerevisiaeのl変異株はpGKL2のORF1ー3領域に由来するヘアピン求型及びその逆向き2量体型プラスミド(pKA209S、pKA209L)を数百に及ぶ高いコピー数で保有していた。pKA209S/L保有菌は細胞形態が異常で生育不良となるなど多コピープラスミドによって正常な細胞の代謝機能が阻害されることを示唆する新たな知見が得られた。 pGKL1のORF2(キラー遺伝子)領域内にin vivo遺伝置換の方法を用いて核性マーカー(LEU2)を挿入し、線状ベクター(pLS1、pLB1)を構築した。DAPI染色・構造解析の結果、pLS1/pLB1は両未端に数百塩基対の染色体テロメア配列をもち核内で独立に安定複製する新規の線状ベクターであった。 S.cerevisiae ρo変異株に導入したpGKLプラスミドは1倍体株では安定複製するが、2倍体株では不安定で脱落し易い。MAT遺伝子座変異株(matal)を用いた交雑実験の結果から、上記現象は2倍体に特異的な遺伝子産物(al-α2リプレッサー)がpGKL複製を阻害する為と結論した。pGKL2のORF2(DNAポリメラーゼ)にはal-α2リプレッサー認識配列があり、pGKLの複製阻害機構と深く掛かり合っていると思われる。
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