研究課題/領域番号 |
61470134
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 昭憲 東大, 農学部, 教授 (90011907)
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研究分担者 |
長澤 寛道 東京大学, 農学部, 助手 (60134508)
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キーワード | 脳ホルモン / 前胸腺刺激ホルモン / プペチドホルモン / カイコ / アミノ酸配列 / インスリン族ペプチド / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
1.カイコ前胸腺刺激ホルモン(PTTH)の単離と構造解析 (1)4K-PTTH これまでに3種類の4K-PTTH(4K-PTTH-【1】【II】【III】)を単離し、そのうち【II】について全アミノ酸一次配列を決定している。今回、【II】に存在する3対のジスルフィド結合のうち1対の結合位置をサーモリシン消化ペプチドの配列分析により決定した。また、新たな材料からこれまでとは別の2種類の4K-PTTH(4K-PTTH-【IV】【V】)を単離し、それらの全アミノ酸配列を決定した。それらの配列は【II】の配列と全体的には高い相同性が認められたが、A.B2本鎖のうち、B鎖のN末端およびC末端の数残基についてはかなりの違いが認められた。従って、4K-PTTHの立体構造で比較的自由度が高いと考えられるB鎖のNおよびC末端付近は活性の発現に重要ではないと推定された。 (2)22K-PTTH 約50万頭のカイコ蛾頭部から、カイコ除脳蛹による生物検定法を用いて22K-PTTHの抽出精製を行い、最終的に主要活性分画からその一分子種5.4μgを単離した。N末端アミノ酸配列分析の結果、13残基の配列を決定できた。また、単離の過程で活性は隣りあう複数の分画に認められたことから22K-PTTHには構造的に類似した多数の分子種が存在することが推定された。2.カイコ前胸腺刺激ホルモンに対するモノクローナル抗体の作製と免疫組織化学 4K-PTTH-【I】のA鎖のN末端に相当するデカペプチドを化学合成し、これを抗原としてマウスを用いて常法によりモノクローナル抗体を得た。この抗体は抗原に用いたデカペプチドあるいは4K-PTTHのジスルフィド結合を還元したA鎖とは交叉活性を示したが、天然の4K-PTTHとは交叉活性をもたないことがわかった。この抗体を用いてカイコの神経組織を染色した結果、脳間部に存在する4対の神経分泌細胞とアラタ体が染色されたことから、4K-PTTHの産生細胞が同定された。
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