研究概要 |
3年間の研究の結果、アセトラクテート合成酵素を標的とした新除草剤をスクリーニングする方法として、次のような実験条件が適当と考えられる。 (1)ALS原材料植物:春〜初夏期には、オオムぎ・コマツナ・サントウサイ・ホウレンソウ、夏期にはハクサイ(内葉)およびイネ、秋期にはホウレンソウおよびオオムギが好適なALS原材料となる。 (2)ALS抽出および部分精製法:材料を、磨碎液(0.1MK_2HPO_4,KH_2PO_4緩衝液(pH7.0)、1mMピルビン酸ナトリウム、0.5mMMgCl_2、0.5mMTPP、10mMFAD)とともに、乳鉢またはブレンダーでよく磨碎する。磨碎液の25〜40%硫安飽和画分の沈殿物を上記リン酸緩衝液に溶かし、セファデックスGー25カラムで脱塩したもの、あるいはさらにsephacrylのカムラクロマトでゲル濾過を行い、比活性を高めてから使用する。 (3)酵素活性測定方法:ピルビン酸Na(20mM,pH7.0)、0.5mMMgCl_2、0.5mMTPPを含む酵素反応液0.5mlを30℃30分反応させた後、6NH_2SO_4を加え、60℃で15分間保ってアセトラクテートを脱炭酸したあと、0.5%クレアチン0.5mlおよび5%ナフトールの0.5mlを加え、さらに60℃、15分加熱して沈長525nmの吸光度を測定する。この際、脱炭酸しないサンプルのアセトインも定量して、前記の値より差引く必要がある。 以上の実験のほか、ALS阻害剤であるクロルスルフロンの動・植物培養細胞への影響を調べてこの種除草剤が動物に低毒性であることの確認、植物アセトラクテート合成酵素の特性、クロルスルフロンのALSへの阻害様式が基質ピルビン酸に対しては非拮抗的、Co-factor TPPに対しては不拮抗阻害であること、ALS粗酵素調製法の検討、市販試薬36種および部分合成化合物3種のALSへの阻害効果とイネ幼苗への影響の検討をも実施した。
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