研究課題/領域番号 |
61470138
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研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
奥積 昌世 東京水産大, 水産学部, 教授 (10017030)
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研究分担者 |
平野 敏行 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (60017043)
小泉 千秋 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80017045)
永山 文男 東京水産大学, 水産学部, 教授 (90017020)
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キーワード | 解凍魚 / 流通過程 / 細菌相 / 顆粒内酵素 / 脂質の酸化 / 分解 / エキス成分 / K値 / 生菌数 |
研究概要 |
1。-20℃凍結魚(イワシ,サバ,アジ)の解凍後に冷蔵(0℃または5℃)した検体を解凍区、上記試料の生鮮魚を直接冷蔵した検体を対照区とし、両区について下記のような比較を行ったので、その結果を要約する。(1)生菌数の増加は解凍区のが対照区より遅かった。すなわちshelf lifeは僅かに長かった(試料魚イワシ、冷蔵温度0℃)。(2)細菌フローラは、解凍区では腐敗活性の弱いグラム陰性色素産生菌、グラム陰性非運動性桿菌、球菌類などが主体であったが、対照区では、腐敗活性の強いグラム陰性運動性桿菌が主体であった(サバ、0℃)。(3)VBNの増加は、解凍区の方が対照区より遅かった(イワシ、0℃)。また、三枚に卸した魚肉について行った場合には、両区の間に大きな差は認められなかった(アジ、0℃)。(4)K値の増加は、解凍区より対照区の方が若干早いようであった(イワシ、5℃)。(5)遊離脂肪酸は、解凍区の方が対照区に比べて著しく生成されることがわかった。この脂肪酸は極性脂肪だけでなく、トリグリセライドの加水分解によるものと考えられた。構成脂肪酸は、16:0(22.2%)、18:1(17.4%)、20:5(11.7%)、22:6(8.2%)で、中性脂肪のそれとほぼ同じであった(イワシ、5℃)。(6)TBA値の増加は、両区の間に著しい差は認められなかった(イワシ、5℃)。 2。-20°、-30°、-40°、-50℃の各温度で凍結したサバの解凍後における細菌フローラは、温度が低いほど腐敗活性の強いグラム陰性運動性桿菌が多いように思われた(サバ、0℃)。 3。顆粒内酵素の1つとされるN-アセチルグルコサミニダーゼは、魚を凍結解凍することにより可溶化され、見掛け上の活性は生鮮魚に比べて著しく増加した。その他いくつかの可溶性酵素については、現在のところ活性化は認められていない。ヌクレオチド分解に関与する酵素、特にK値に関係する酵素について温度特性などを検討中である。
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