研究課題/領域番号 |
61470141
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
足立 達 東北大, 農学部, 教授 (10005580)
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研究分担者 |
戸羽 隆宏 東北大学, 農学部, 助手 (10108483)
須山 享三 東北大学, 農学部, 助手 (70005635)
伊藤 敬敏 東北大学, 農学部, 助教授 (80005610)
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キーワード | ケフイラン / ケフィール / 乳用乳酸菌 / ケフィール粒 / 莢膜性多糖 |
研究概要 |
莢膜性多糖を産生する乳用微生物として、ケフィール粒に生息する微生物が著名であるので、ケフィール粒から莢膜性多糖産生微生物の分離をまず検討した。その結果、除タンパクホエーをベースにして、これにポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、グルコース、ガラクトースおよびワインを少量加えた培地の使用によって、ケフィールから有莢膜桿菌を分離、培養することに成功した。本菌はグラム陽性、通性嫌気性、糖類からD(-)乳酸90% L(+)乳酸10%を生成するホモ型発酵乳酸菌で、糖類発酵性の点から未知の菌種と考えられた。現在は東大農学部光岡知足教授との共同で、本菌株のDNAの塩基組成の決定などによって、新種として確定して発表すべく努力中である。本菌の産生する莢膜性多糖は、ケフィール粒から分離した多糖と、グルコースおよびガラクトースの構成比の上で一致しており、本菌がケフィール粒の多糖の形成に関与する主原因であると推定されるに至った。ケフィール粒からは熱水抽出および酸性バッファー抽出によって、莢膜を分離し、これをエタノール沈殿法、ゲル濾過およびイオン交換クロマトグラフイーにより精製した結果、タンパク質フリーの多糖ケフィランがえられた。ケフィランはグルコース;ガラクトース=1:1からなる、分子量100万以上の多糖であるが、セルラーゼ処理によってえられたオリゴ糖の、還元末端分析、完全メチル化糖アルコールとしての質量分折、部分メチル化アルジトールアセテートとしてのガスクロマトグラフ・質量分析および【^(13)C】ーNMR分折などの結果から推定された化学構造は、かつてKoimanらが提出した推莢構造とは異なるものであった。
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