研究概要 |
前年度に引続き,ケフィール粒から熱水抽水によって分離し,エタノール沈殿法によって精製した多糖について,化学構造の検討を行なった. また,ケフィール粒から分離した〓膜性多糖生産性のLactobacillus Kefiroanofacieusによって産生される多糖を,同様の方法によって分離精製し,その化学構造を前記多糖のそれとの比較を試みた. L.Kefiranofacieusからえた多糖の分子量は100〜200万と推定され,^<13>CーNMRおよびメチル化分析の結果から,そのスペクトルおよび生成した部分メチル化アルジトールアセテートは,前者からえたされと同一であった. Trichoderma reesei由来セルラーゼの消化によって,グルコース,ガラクトースおよび五糖がL.Kefiranofacieus由来の多糖から遊離したが,五糖の構造は^<13>ーNMRおよびメチル化分析の結果から,前記多糖からえられた五糖の構造と一致することが示された. さらに,両者のメチル化物からは6位置換がラクトース残基の存在を示唆する記掾もえられた. 6位置換ガラクトースはL.Kefiranofacieusの培養期間(2〜15回)に無関係で,ほぼ20%に保持され,本多糖の恒幸的な構成単位として6位置換ガラクトースの存在することが明白になるとともに,以上の諸結果から,L.Kefiranofacieusによって産生される多糖とケフィール粒を構成する多糖とは,本質的に同一であることが明らかとなった. また,本多糖の化学構造は,Kooimanが提唱したような,七糖からなる繰返えし単位だけから構成されるのではなく,七糖単位の置え末端あるいわ非置え末端に,6位置換ガラクトース残基の存在することが示唆されるに至った. ケフィール粒から分析した多糖の水溶液については,レオロジー的性質の検討を行ないつつある.
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