精製糖脂質移送タンパク質(GLTP)は、SDS-PAGE分析において、推定分子量22Kの主成分(75〜80%)と推定分子量21Kの少成分(15%)から成る。分析の前に試料をSDS中で還元すると、すべての21K成分が22Kに変換した。GLTPを硫酸銅の存在下に空気酸化した所、22K成分が減少し21K成分が増加した。しかし同時にGLTPの二量体および三量体の生成が認められた。GLTPの多量体をセファデックスG75クロマトグラフィーで単離した。多量体は、糖脂質移送活性が極めて低く、糖脂質との間に安定な複合体を作るためである事が明らかになった。精製GLTPの有するSH基をDTNBを用いて測定した。未変性条件下では、GLTP1分子当り一個のSH基がDTNBと反応した。SDSの存在下では更に1.5個のSH基が定着された。この結果から、22Kの主成分は3個のSH基を持ち、21Kの少成分は1個のSH基を持つと結論した。両成分に共通な1個のSH基はGLTP分子の表面に存在し、NEMでこれを修飾すると多量体を作らなくなる。主成分に存在する残り二個のSH基が分子内S-S結合を形成したものが見かけの分子量21Kの少成分である。表在性SH基をNEMで修飾した後、硫酸銅の存在下に酸化し21K成分を調整した。NEM修飾GLTPは元のGLTPに比較し約70%に活性が低下した。NEM修飾GLTPを酸化すると活性は2、4倍に上昇した。この結果は、分子内S-S結合を有する分子型の方が還元型のものに比して、約2倍糖脂質移送活性が高い事を示唆する。ピレン標識ガラクト修飾GLTPはNEM修飾GLTPおよび未処理GLTPに比らべて、糖脂質に対する親和性が約2倍高い事が明らかになった。
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