研究概要 |
1.霊芝および麝香の生理活性成分の研究 霊芝の生理活性成分の研究として、苦味が強く抗男性ホルモン作用が認められた菌褶部に着目して詳細に成分検索を行った結果、苦味を有するラノスタン型トリテルペノイド21種類(このうち16種類は新化合物)を単離し2次元NMR,特に【^1H】-【^1H】,【^1H】-【^(13)C】シフト相関およびselective decouplingなどにより詳細な解析を行った。その結果、これまで幾つかの点で帰属に混乱がみられたトリテルペン類の【^(13)C】-NMRの帰属を確実にし、新化合物の構造を確定することができた。また、霊芝の胞子の成分研究を行い日本産霊芝より数種のフタル酸エステルと共に脂肪酸混合物を得た。中国産胞子についても同様にフタル酸および脂肪酸を含むことが認められた。現在これらの生理作用について検討中である。動物性生薬麝香については強心作用を増強する物質が分離されたが非常に不安定な化合物のため現在分離方法の改良を行っている。また、台湾の民間薬である半枝蓮(Scutellaria riuularis)より数種の新ジテルペンを単離し、2次元相関(【^1H】-【^1H】,【^1H】-【^(13)C】,long-range【^1H】-【^(13)C】)NMRおよび2次元INADEQUATEを利用して構造を決定した。 2.グリチルリチンの体内代謝およびマツムシソウ科植物成分の研究 グリチルリチン,グリチルレチン酸についてラットの肝臓とホモジネートして代謝産物の検討を行ったところ、グリチルリチンには変化が認められ、代謝産物として、グリチルレチン酸-3-モノグルクロナイドおよびグリチルレチンを単離、同定した。マツムシソウ科Dipsacus inermusのメタノールエキスについては、活性炭カラムクロマト,高速液体クロマトグラフィー,プレパラティブTLCを行って分離、精製しビスイリドイドを単離同定した。その他の成分については現在検討中である。
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