研究概要 |
〔I〕霊芝,〓香,山黎蘆などの生理活性成分およびシソ科,ニシキギ科薬用植物の生理活性テルペノイドの研究 霊芝の抗腫瘍活性を担うエフェクター細胞の一つであるNK模胞に注目し,霊芝の熱水エキスを用いて,マウス脾細胞およびヒト末梢リンパ球NK細胞の活性増強物質の検索を行った. その結果,熱水エキスと,これを酢酸エチル,nーブタノールで順次抽出した残りの水分画に強いNK活性を認めた. 上記の水分画について,ゲル3過およびアフィニティークロマトによる分別を行い,純粋な活性物質を単離するべく研究中である. 山黎蘆の生理活性物質については,ステロイドアルカチイド6種類を単離し,2DーNMRによる詳細な検討を行いその構造を決定した. また,ニシキギ科植物クロズルおよびCassine balaeより,セスキテルペンアルカロイドおよびトリテルペンキノンメチド類を単離し,二次元相関(^1Hー^1H,^1Hー^<13>C,^1Hー^<13>C longーrange)NMRを応用してその構造を決定した. また,パラグアイ産ゴマノハクサ科植物Scoporia dulcisより新規ジテルペノイドを単離し,2D NMRを応用してその構造を決定した. また,Myristica fragrans(ニクズク科)より新ネオリグナンを単離し,その構造を決定した. 〔2〕グリチルリチン,サイコサポニンの体内代謝およびBoerhaavia diffusaの生理活性成分の研究 サイコサポニンの体内代謝を検討する基礎研究としてサイコサポニンA,Cについて,2D NMR,特にNOE差スペクトルを応用してプロトンとカーボンの詳細な解析を行っている. また,ネパールでぜんそくや制癌薬に用いられているBoerhaavia diffusaの生理活性物質の検討を行い,3種の新ロテノイド類縁化合物を単離,2DーNMR,特に2ーD INADEQUATEならびに^1Hー^<13>C longーrange COSYを適用してその構造を解明した. これらの生理作用については,現在検討中である.
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