研究概要 |
1.容易に入手可能なベンツアルデヒド体及びフェネチルアミン類から, 短工程で簡便なプロトベルベリンアルカロイドの位置選択的合成法を見出し, 一般に合成困難な2, 3, 9, 10-位に酸素置換基をもつプロトベルベリンアルカロイドの全合成に成功した. 2.上記アルカロイドから, 過酸によるC_8-C_8結合の開裂, 光再閉環により, D環の位置異性体である2, 3, 10, 11-位置換プロトベルベリンアルカロイドに導く新しい変換方法を開発した. 3.ベルベリンから, ホフマン分解によるC_6-N結合の開裂, 硝酸タリウムを用いるアセタール化, 酸による再閉環により, 生合成類似の経路でベンゾフェナンスリジンアルカロイドのケレリスリンを合成し, 完全芳香化アルカロイドの新規合成法を開拓した. 又, 中間体のオキシケレリスリンから選択的脱メチル化により, 構造未確定のファガリジンを合成した. 4.上記合成法を適応し, 抗腫瘍性アルカロイドのニチジン及びファガロニンを対応するプロトベルベリンから効率よく全合成することができた. 5.フェノール性水酸基をもつオキシテリハニン及び5個の酸素置換基をもつサンギルチンを, それぞれ対応するプロトベルベリンから合成し, 完全芳香化アルカロイド合成法の一般性を確立した. 6.カチオン閉環反応による, 立体選択的な脂環式ベンゾフェナンスリジンアルカロイドの新しい合成法を開拓した. これにより, ベルベリンからホモケリドニン及びケラミジンを, コプチシンからケリドニン及びケラミンを立体選択的に合成し, 立体構造未定のケラミンの立体化学を解明した. 7.上記の合成中間体から, 完全芳香化アルカロイドのケレリスリン及びサンギナリンに導き, 同一中間体を経由して, 両タイプのアルカロイドを合成する新しい合成法を確立した.
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