研究概要 |
火災の主原因が寝たばこであるため、従来から実際のたばこをミニふとんにはさみ、燃焼実験を検討してきた。しかし、実際のたばこ火では着火や燃焼挙動が不安定なため、本年度は模擬たばこ火源器を考案し、本たばことの比較を試みた。また、同時に、たばこ,わた,布の熱焼熱を引火点・発火点測定装置を用いて測定した。模擬たばこ火源器は、電圧・電流を変化させて発熱量を調節し、たばこの燃える速度で火源が後方に移動するよう作製した。本研究において、実際に測定したたばこ1本の燃焼熱は16.7kJであったが、それと模擬たばこの熱源のエネルギーとは、火源の電流と電圧を調節して適当な条件を与えることにより燃焼挙動が同一であった場合一致し、模擬たばこの発熱量を調節することにより本たばこと同じ火源の作製に測定した。 ふとんの側布は、綿100%の添付白布を用い、わたは、綿100%,ポリエステル(PET)100%,綿80%PET20%,綿50%PET50%のものを用いた。防炎加工した場合と未加工の場合とを比較すると、布,わたともに加工した場合は、最高温度が抑制され、防炎加工効果がみられた。また、布よりもわたを加工した場合の方が難燃性を示した。燃焼実験後の残渣を段階別に分類し、燃焼熱を測定したところ、燃焼段階が進むほど、炭化が進むほど、燃焼熱は高くなる傾向にある。PETの熱量計での発熱量の測定は難かしく、少量を雁皮紙で包み、安息香酸を併用させることにより測定可能となった。綿とPETの熱焼熱を比較すると、PETの熱量が綿の場合の1.5倍と高く、また、ポリエステルの含有量が多くなるほど燃焼熱は高くなる傾向にある。PETは加熱により溶融するため炎の伝播が少なく、その点では安全ともいえるが、一度、着火すると、綿よりも危険性がある。
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