研究概要 |
セラミックス材料は原子力工学において重要の物質であるが, 一般に多孔性等焼結体特有の複雑な構造を有するために, その物質中における気体の移行プロセスは単純ではない. そこで本研究では, 核融合炉ブランケット用トリテウム増殖材を例にとり, その多孔質構造・吸着特性・気体透過速度を測定してこれらの相関を求め, 実際にブランケット中トリチウムインベントリー評価への適用を目的として, 以下の実験及び検討を行なった. 1.LiF焼結体中の気体透過速度測定とその多孔性の同定 焼結体マトリックスと透過気体間の化学的相互作用の無い系としてフッ化リチウム(LiF)-Ar/H_2系を取り上げ, 種々の焼結条件により調製した試料中の透過・拡散係数を測定した. また水銀ポロシメーターによる多孔質構造の同定を行ない, 気体透過・拡散係数が空孔率の簡単な関数で表現できることを示した. (61年度) 2.Li_2Oへの水蒸気吸着及びLi_2O-LiOH系での平衡水蒸気圧 マトリックスと透過気体間の化学的相互作用の大きな系としてLi_2O-H_2O系を取り上げ, 相互作用に関する知見を得る目的で, 破過法により, 種々の見かけ粒子径に対するH_2O吸着量及び吸着のエンタルピー変化を測定した. またLi_2O-LiOH二相混合系における平衡水蒸気圧を350-620°Cの広い温度範囲において高精度で測定した. 3.核融合炉ブランケットにおけるトリチウムインベントリー評価 核融合炉ブランケット中のトリチウム移行を計算するコードを作成し, 本研究で求めたデータを用いることにより, RFP型核融合炉ブランケットのトリチウムインベントリーを評価した. これにより, 本研究で測定したデータの評価を行ない, その有用性を再確認した. (以上61年度) 以上, 本研究で得られた成果を取りまとめ, 成果報告書として刊行した.
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