研究概要 |
炉心損傷(SFD)に関連して、UO_2ペレットとジルカロイ被覆管の高温接触反応は極めて重要なテーマである。本研究では、UO_2ペレットとジルカロイ被覆管の反応挙動に関する基礎データを得ることを目的に、Zr(αーZr(O))/UO_2接触界面における反応及びUーZrーO三元系の平衝に関する実験的検討を主として行なってきた。 ZrまたはαーZr(O)とUO_2の接触反応については、Zr板または、αーZr(O)板とUO_2ペレットの密着反応カップルの加熱実験(1000ー1300℃)を行い両者間のゆ着や界面反応層の生成について実験的に検討した。Zrまたは酸素濃度の低い(0〜6.6at%)αーZr(O)とUO_2の反応では、ゆ着が生じ、界面反応層はUO_2側から[αーZr(O)+UーZr]→UーZr→αーZr(O)の三層構造をとることが確められた。αーZr(O)の酸素濃度を増加させると(11.5〜16.0at%)ゆ着は生ずるが、もはや三層構造を示さない。酸素濃度が26.0at%の場合はゆ着は起らなかった。Zr/UO_2反応に及ぼすZr中の酸素濃度の影響に関する実験的成果はこれまでなく、本研究の結果は貴重な成果と考えている。 UーZrーO三元系の平衝状態に関する研究としては、UO_2とZrまたはUO_2とαーZr(O)の粉末混合ペレットの加熱実験を1000℃及び、1400℃で行い、X線回折法により反応生成物を同定した。特に、三相(UO_2,αーZr(O),UーZr)共存領域と二相(αーZr(O),UーZr)共存領域の境界を明確にすると共に二相領域内のタイ・ラインを推定した。以上の結果から、1000,1400℃でのこの三元系の等温断面図を完成させた。またUーZrーO系状態図の計算を1000℃で試みた結果、予測された相関係は実験で得られたそれと一致することが確められた。
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