研究課題/領域番号 |
61480016
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久田 光彦 北海道大学, 理学部, 教授 (70000768)
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研究分担者 |
長尾 隆司 北海道大学, 実験生物センター, 助手 (70113595)
高畑 雅一 北海道大学, 理学部, 助手 (10111147)
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キーワード | ザリガニ / 並列情報処理 / ノンスパイキング介在ニューロン / 行動制御機構 / 中枢神経系 / 神経行動学 |
研究概要 |
ノンスパイキング介在ニューロンが形成する並列回路は、これまでの2年間の研究でザリガニ平衡反射系及び回避行動系においてその存在が確認された。これらの行動はいずれも尾扇肢を含み、調べられた介在ニューロン並列回路も尾扇肢運動ニューロンに対して前運動性のものであった。本年度は新たに、ザリガニの腹部姿勢制御系における並列回路の有無およびその働きを調べた。 実験は単離腹髄標本を用いて腹部第4神経節で行った。蛍光色素(Lucifer yellow)を充填した硝子管微小電極を用いて神経節内を探り、細胞内通電によって腹部姿勢運動ニューロンに影響を持つニューロンを検索した。その結果42個の、ノンスパイキング介在ニューロンを得た。これらはいずれも通電効果に差異は認められなかったが、形態的に2群に大別された。各群には少なくとも2個以上のニューロンが存在し、これらは腹部姿勢運動ニューロンに対して前運動性の並列回路を形成している。全体標本を用いて腹部姿勢運動遂行中のこれら介在ニューロンの活動を調べた結果、腹部姿勢制御系から興奮性入力を受けることが判明した。これら介在ニューロンの運動出力はは、腹部運動を抑制する方向に働く。従って今回同定したノンスパイキング介在ニューロン群は、腹部姿勢運動発現を促進する働きをしていると考えられる。 今回腹部第4神経節で得られた介在ニューロンは、形態的には最終神経節のLDSニューロンと相同と見られるが、機能的に異なっており、今後の検討が必要である。
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