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昆虫血液中に見出されたカスケード(プロフェノール酸化酵素活性系、以下ProPOカスケードと略称)は、ごく微量のカビやバクテリアの細胞壁成分〔β-1.3-グルカン(β-1.3-G)やペプチドグリカン(PG)〕により活性化される。
本研究課題は昆虫の異物認識機構に関して一つの作業仮説(ProPOカスケードは異物認識機構を含む)をたて、その実証を試みたものである。その作業仮説が正しければProPOカスケードがβ-1.3-GやPGで活性化される仕組みを究明することは、昆虫の異物認識機構を明らかにすることにつながるわけである。
本年度はProPOカスケードの構成要素が昆虫血液の何処に局在しているか免疫電顕的手法を用いて調べた。ProPOカスケード各構成要素の局在を知ることは、昆虫血液内でカビやバクテリアなどを異物として認識する場が細胞表面なのか、あるいは液性部分なのかを決定する上で重要である。
ProPOカスケードの構成要素のうち、現在までに我々の研究室で精製を完了しているものはフェノール酸化酵素前駆体(ProPO)、β-1.3-glucan recognition protein (BGRP)とpeptido glycan recognition protein(PGRP)、活性型セリン酵素の4種類のタンパク質である。このうちProPOとBGRPに対する特異抗体を調整した。これらの抗体を一次抗体とし、二次抗体にantirabbitgoat IgGconjugated to gold colloidを用いて局在を調べたところ、ProPOは血球細胞(エノシトイドとプラズマサイト)とプラズマに存在することが明らかになった。また、BGRPも血球細胞とプラズマに存在することが示された。今後ProPOカスケードの他の構成要素についても局在を調べる予定である。
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