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1988 年度 実績報告書

細胞内共生現象の分子生物学的・細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 61480018
研究機関東京大学

研究代表者

石川 統  東京大学, 理学部, 教授 (70012482)

キーワードアブラムシ / 細胞内共生体 / シンビオニン / 抗血清 / イムノブロッティング / groelタンパク質 / 免疫組織化学
研究概要

本年度はアブラムシ細胞内共生系において共生体が唯一合成するタンパク質、シンビオニンの分離・精製に成功するとともに、その諸性質を明らかにし、多くの知見が得られたので、本研究全体の当初の目的をほぼ達成できたものと思う。以下にその概要を項目別に項目別に記す。
1.硫安沈でんを出発とし、アブラムシ組織から種々のカラム操作を経て、シンビオニンを2次元電気泳動的に単一のスポットになるまで精製した。この結果、シンビオニンは63Kの単位12〜14個からなる分子量約800Kの巨大分子であることが明らかとなった。
2.陰染色による電顕観察からは、シンビオニンは7個の単位からなるディスクが2層に重なった構造をもつことが示唆された。
3.精製したシンビオニンをウサギに注射して得た抗血清によるイムノブロッティングからは、生体内にはシンビオニンの他に、多種類のその分離産物の存在することが示唆された。同分子が精製の過程で分解されやすいことも考え併せると、その生体内での役割が推測される。
4.抗シンビオニン抗血清と交差反応を示すタンパク質はアブラムシ類だけでなく、原核細胞に広く分布することが明らかとなった。これらのタンパク質はSDS-PAGEによると何れも63Kの分子量を示す。
5.2に述べたシンビオニンの電顕像は大腸菌groelタンパク質の像と酷似しており、そのアミノ酸組成ならびにN末端近傍のアミノ酸配列の比較もこの結果を支持した。また、精製したgroelタンパク質は抗シンビオニン抗血清と交差反応を示すことも明らかになった。以上の結果はシンビニオンがgroelタンパク質と相同であることを強く示唆する。
6.抗シンビオニン抗血清を用いた免疫組織化学的技法によって、共生体を含むアブラムシ菌細胞が強く染め分けられることがわかった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Y.Kawata: Comparative Beochmistry&physiology. 91B. 149-153 (1988)

  • [文献書誌] Y.Kawata: Comparative Biochemistry&Physiology. 91B. 155-157 (1988)

  • [文献書誌] H.Ishikawa: International Review of Cytolgy. 116. 1-45 (1989)

  • [文献書誌] K.Ogino: Nucleic Acids Research.

  • [文献書誌] C.Ohtaka: Insect Biochmistry.

  • [文献書誌] 石川統: "バイオサイエンスへの招待" 岩波書店, 1-143 (1988)

  • [文献書誌] 石川統: "共生と進化:生態学的進化論" 培風館, 1-273 (1988)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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