研究概要 |
1.細胞小器官を細胞外に単離しその運動,行動を解析するための媒液として生きている細胞の原形質をできるでけ外液が混入しないような状態で取り出そうとする試みとして,魚類の水晶体を材料に選んだ. これは組織として極めて透明なうえ細胞間物質の量が比較的小さいためである. キンメダイの水晶体を単離し,表面に附着した外液をぬぐってからパラフィン油中に入れて超音波破砕機で細胞を破壊し.得られた原形質中の細胞膜や細胞間構造の断片を遠心除去して透明な原形質成分を得ようとした. 現在のところ満足すべき結果が得られていないが,材料(水晶体以外に大型細胞など)を変えて試みる予定である. 2.ウニやヒトデの卵細胞の中に直径数μmの金粒子を導入し,この粒子の遠心力による細胞内での運動を遠心顕微鏡を使って観察測定した. その結果を解析して一部は発表(研究発表図書参照)し,本論文は現在準備中である. 3.分裂中のウニ卵の中にガラス微小ピペットをさしこんで分裂装置の構造の一部を吸引除去したり, 極めて細いガラス針を細胞内にさしこんでその屈曲度を測定することによって分裂中の細胞内の紡錘体の力学的性質や紡錘体の発生する力の測定した結果を解析した論文として投稿し受理された. 現在印刷中である(研究発表雑誌論文の項参照). 4.今後の研究の展開としては1に関連したものとしては材料として魚類以外の動物の水晶体,両生類卵,大型植物細胞などを試みる予定である. 2に関連したものとしては金粒子のような外部から導入するもののほか,本来細胞中に存在する構造間の密度の差を利用して, 遠心力によって細胞内に局所的に力を加えて細胞内構造の力学的性質や細胞内部で発生する力の測定をおこなうことを計画している.
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