研究概要 |
1.カイコbombyxin(4K-PTTH)A鎖,B鎖,および22K-PTTHN末端部のそれぞれ5個のアミノ酸に対応するオリゴヌクレオチド混合物をプローブとして用い、カイコゲノムDNAからPTTH遺伝子のクローニングを試みたが、プローブの結合力が弱いために確信のもてるシグナルが得られなかった。 2.1.の不成功はプローブが短いことによると考え、第3位コドンをデオキシイノシンに置換した30merのプローブを合成して使用したが、これはゲノムDNAと全く結合しなかった。 3.第三の方法として、カイコの遺伝子コドン使用頻度を文献から求めて、51merのヌクレオチド鎖をプローブとして用いたところ、初めて明快な結果が得られた。ゲノムDNAライブラリー(15kb程度の切断、λファージcharon28)のプラークハイブリッド形成により、bombyxinに対して6個、22K-PTTHに対して8個の陽性プラークを得た。これらプラークを液体法により培養、DNAを抽出、BamH1切断、電気泳動後、プローブと強く結合する複数個のバンドが検出された。現在大量培養法によりサブクローニングを行いつつある。4.bombyxin,22K-PTTHの天然標品,合成部分ペプチドを抗原として7種のモノクロン抗体を得た。免疫組織化学的に、これらの抗体はすべて、間脳部脊側中央域の4対の神経分泌細胞と結合するが、抗体の種類によっては、その他に、中央域2対、側方域5対の神経分泌細胞と結合した。PTTH分子を含む巨体前駆タンパクの、各神経分泌細胞に特異的なプロセシングの存在が予測され、PTTH産生細胞の同定には愼重な配慮が要求されることが明らかになった。 5.今後は上記の線に沿ってさらに研究を進め、PTTH遺伝子の構造解析、その転写、翻訳産物の抗体を用いての吟味を続ける。
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