研究概要 |
1.沿岸水域に出現する稚仔魚に関しては、北海道の南茅部町,厚岸町,根室市,野付町,稚内市などを中心として集魚燈による採集を行い多くの標本を得た。現在これらの標本を種わけし、査定を行いつつあり、既に20種余りの稚仔魚を分類し、それらの形態的な特徴を明らかにした。 2.沖合い水域に出現する稚仔魚に関しては、本学部の練習船によって行われた北海道周辺海域および北部北太平洋での稚魚ネット調査で得た多数の標本について、現在解析を進めている。 3.卵および稚仔魚の飼育実験により以下の知見を得、さらに飼育研究を継続中である。 1).アイナメ科魚類3種(クジメ,アイナメ,スジアイナメ)の卵を人工授精法により得て飼育を行い、稚魚前期までの各発育段階の標本を多数得た。これらの標本をもとに各種の発育にともなう形態変化および各発育段階での種内変異について検討した。その結果、上記3種は峡部、鰓膜、体の腹縁などに出現する黒色素胞の状態,筋節数,尾鰭の鰭条原基の状態などを比較することにより稚仔魚期においても分類することが可能であることが明らかになった。 2).カジカ科魚類の1種ベロの親魚から受精卵を得て、ふ化後から仔魚期まで飼育を行い、この間の形態変化を初めて明らかにした。この結果、本種とその近似種ニジカジカの仔魚は卵黄の色、仔魚期の頭部に出現する色素胞の配列状態が異なることが明らかになった。
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