研究概要 |
1.仔稚魚の採集調査と飼育 1).沿岸域の仔稚魚の採集は昨年度と同様に南茅部町, 釧路市, 厚岸町, 野付町, 及び稚内市で継続され, それ以外に利尻町も加えて, 集魚燈によって行い, いろいろな発育段階の多くの標本を得た. 2).沖合いの仔稚魚については北海道大学水産学部の2隻の練習船で, 稚魚ネットによって行われた. 北海道周辺海域で95station及び北部北太平洋海域で46stationの調査で多数の仔稚魚を得た. 3).人口受精及び受精卵から得た仔稚魚は臼尻水産実験所及び本学部の水槽で飼育され, カジカ科4種とアイナメ科3種の発育段階別の標本を得た. 2.研究経過 1)採集された仔稚魚のうちカジカ上科及びカレイ目について分類と査定を行った. その結果, カジカ上科では42種に分類され, そのうち, 30種は種まで, 11種は属まで査定された. これらの中で特に, 4種(ケムシカジカ, イソバテング, ニジカジカ, 及びベロ)は受精卵から得られた標本を含み, 稚魚前期までの発育過程を明らかにした. カレイ目では主として北部北太平洋からの標本に基づいてなされ, 2科14種に分類された. そのうち12種は種まで, 2種は属まで査定された. 2) 飼育実験によって得られたアイナメ科魚類3種(アイナメ, スジアイナメ, 及びクジメ)の仔稚魚については, 本年度は特に各発育段階による黒色素胞の出現状態の種内変異について調査され, 複数の親魚から得た仔稚魚でこのことが確認された.
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