研究概要 |
B染色体の遺伝子増巾的作用と常(A)染色体の有用遺伝子部分をもつ小形の組換えB染色体を作出する実験を行った. 普通コムギ(2n=6x=42)とB染色体をもつライムギ(2n=2x=14+Bs)のF_1(2n=4x=28+Bs)種子に10〜40kRのX線を照射し,発芽生育した1095個体をコルヒチン処理した. 10〜18kRのX線照射したF_1種子の置床後48時間目の根端細胞における切断染色体数は細胞当り0〜10個で負の2項分布を示し,染色体切断率は染色体により異なることが推察された. コルヒチン処理固体の生存率は90.1%であり,423(38.6%)個体688穂(系統)でX_2C_2種子4118粒を得た. 生存率は対照(OkR)区に比べてX線照射区で高い傾向にあったが,倍加率は20KR区を除き低かった. X_2C_2系統は穂別に系統とした. 得られたX.ナ_<2.ニ>C.ナ_<2.ニ>系統のうち調査した45系統中13系統で転座ホモとして27の転座染色体及び6の端部欠失染色体が見つかった. 転座は10の相互転座,2の単純転続及び4の染色体未同定の転座であった. 転座に関与した染色体を同定できた21の転座染色体はすべて非同祖染色体間転座であり,15の転座染色体はコムギ・ライムギ染色体間転座であった. 組換えB染色体は1系統でのみ得られたが転座に関与したコムギ染色体を同定できなかった. 今後未調査系統で新たな組換えB染色体を探索するとともに得られた組換えB染色体の遺伝的効果を明らかにする予定である. B染色体とA染色体の動原体判別法として種々の蛍光染色を試みたが判別できず今後更に検討を要する. コムギ幼胚由来カルスから増殖率の高い懸濁培養細胞系を確立するとともにプロトプラストの単離条件を決定した. 今後微注入法及びプロストプラストからの再生条件を検討する.
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