研究概要 |
茎頂の超低温保存の基礎となる茎頂培養条件を確立するために、落葉果樹(モモ・ネクタリン・オウトウ・スモモ・ウメ・アンズ・アーモンド・カキ・クリ・キウイ)と熱帯果樹(パパイヤ・マンゴー・パッションフルーツ他)の培養条件を検討した。スモモ・アーモンド・キウイ・パパイヤで茎頂培養に成功した。スモモとアーモンドは、修正1/2MS培地に4pu2.0mg/lを添加したペーパーウィック培地で初代培養した後、4pu0.1〜0.5mg/l又は6BA0.1〜0.5mg/lを含むゲルライト培地に移植すると旺盛に増殖した。スモモは低サイトカイニン培地で、アーモンドはNAA添加培地で発根した。キウイは修正1/2MS培地に4pu1.0〜2.0mg/lを添加した寒天培地で良好な生育を示した。これをNAA0.1〜1.0mg/lを含む寒天培地に移植すると発根した。パパイヤは修正1/2MS培地にNAA1×【10^(-6)】〜5×【10^(-6)】M,6BA0〜1×【10^(-7)】Mを添加した培地で芽条が伸長し、NAA0〜1×【10^(-6)】M,6BA1×【10^(-6)】Mを添加した培地で旺盛に増殖した。これらの一部は増殖培地上で発根した。モモ・ネクタリン・オウトウ・ウメ・アンズはスモモと同様の方法で初代培養の確立に成功した。カキは4pu0.05〜0.1mg/lを添加した修正1/2MS培地で初代培養した後、4pu濃度を減じた培地に移植すると芽条の増殖,伸長が良好であった。クリはカルス化し、芽条の増殖伸長には至らなかった。 茎頂培養条件がほぼ確立したので、一部の樹種について超低温保存を試みた。核果類の茎頂を0・5〜1.5C/分で室温から-3℃付近まで冷却し、植氷後1.0C/分で-40℃まで冷却し10〜20分間-40℃に保った後、液体チッソ中で一晩凍結させた。これを37℃温湯中で急速融解し、培養したところ、カルス形成や、葉原基の伸長が認められた。今後は、試験管内での生長抑制効果も検討する。
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