昨年度は、初年度及び春作の試験結果を基に、日射量に応じて「午前中かん液」「終日かん液」処理により温室メロンを栽培し、実用性の高いかん液の自動化ソフトを作成することができた。しかし、裂果が多発し、商品性に問題があったため、かん液量、水切り程度、RWの厚さ、温度環境等の条件を変え、春作及び秋作の温室メロン(アールスフェボリット)をRW栽培し、上記ソフトによる養分管理を検討した。[春作試験]1988年4月11日に本葉2.5〜3枚の苗をRW栽培ベッドに定植した。処理は、かん液時間の違いによる「午前かん液区」と「終日かん液区」、水切りの有無による「対照区」と「水切り区(開花前後計12日間、かん液量を対照区の60%)」、RWマットの厚さが「5.0cm区」と「7.5cm区」の計8処理区とした。その結果、「終日かん液区」及び「対照区」で生育及び果実肥大が優り、裂果は少ない傾向を示した。「午前かん液区」、「水切り区」では、RW内の根が傷んだために生育が抑制されたと考えられる。なお、裂果が全処理区でみられたため、春作においても、RW栽培における果皮の軟化を促すための適切な水分管理とともに温度等の環境要因の影響を明らかにする必要があると思われた。[秋作試験]1988年9月13日、本葉3枚の苗をRW栽培ベッドに定植した。処理はかん液時間の違いによる「午前かん液区」と「終日かん液区」、水切りの有無により「対照区」と「水切り区」、マットの厚さの違いによる「3cm区」と「5cm区」の計8処理区とした。その結果、「午前かん液区」より「終日かん液区」で、「水切り区」より「対照区」で「生育が良好であった。これは「午前かん液区」では午後の培地内の水分量の不足により、また「水切り区」では乾燥により、根が傷んだためと考えられる。したがって、秋作においてもRW内の水分は常に十分に保つ必要のあることが示唆され、その場合でも裂果は回避できることが観察された。
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