ロックウール(RW)を用いた野菜栽培は、わが国では数年前から開始されたばかりで、適切なかん液量決定方法が確立されていない。かん液量は蒸発散量に見合う量とするのが良いが、そのセンサーに適当なものがない。そこで、蒸発散量に関係が深い日射量を基準にし、積算日射量の多寡に応じてかん液量を加減する養液供給システムの開発を行うため、温室メロンを材料として本実験を行った。〔午前中の績算日射量によるかん液量制御〕日の出から数時間の積算日射量によりその日の天候を定義し、かん液量を制御し、1986年秋、1987年春に温室メロンをRW栽培した結果、一定量かん液区よりも積算日射量に応じたかん液区で、また、対照区よりも水切り区で生育、果実収量・外観が劣った。[積算日射量による「午前かん液」と「終日かん液」の比較]かん液時間の違いと「水切り処理」の組合せにより1987年秋作、1988年春作及び秋作に温室メロンをRW栽培した。かん液はコンピュターにより制御した。その結果、3作とも生育、果実の肥大は「終日かん液区」>「午前かん液区」、「対照区」>「水切り区」となったが、'87年秋作、'88年春作では全処理区で裂果がみられ、「午前かん液区」、「水切り区」でより多かった。'88年秋作も'88年春作とほぼ同様なかん液ソフトを用いて栽培したが、受粉後の温室管理の違いのためか裂果はみられず、前二作と比較して全般的に良好な生育を示した。RWの温室メロン栽培では、土耕で行われている水切り操作や午前中心のかん液は生育を阻害する結果となったが、これはRW内の一時的な乾燥により根が傷んだためと考えられる。今後はメロンの水分状態を把握しながら、さらに細かく日射量とかん液量を対応させたり、かん液終了時刻やかん液間隔を検討する必要があると思われる。
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