研究概要 |
ミカン亜科植物間の接木親和性を環境を制御した実験室レベルで検討するために、カンキツのvirus free苗作出用に開発されたsemi-micrograftingを用いて調査した。in vitroで無菌的に操作するmicrograftingに対し、本法は無菌操作を必要とせず,接木部をパラフィルムでおおうのが特徴である。研究結果の概要は次のようである。 1.semi-micrograftingに適した台木のageを調査するため、播種後の日数を変えてカラタチ実生を育て、これを台木として温州ミカンの穂を接木した。活着率は,播種後10日で45%,12日で85%,14日で80%,16日で75%,18日で53%で、播種後12〜14日が接木適期とみなされた。 2.穂部は大きいほど活着しやすく発芽も早かったが,パラフィルムをおおうことを考慮すると0.5mm前後の大きさが適当であった。 3.カラタチ台に対し、同じSubtribe Citrinaeに属するCitrus,Microcitrus,Atalantia,Citropsis,Hesperethusa,Pleiospermiumは接木親和性を示した。Eremocitrusは活着できなかった。遠縁のTriphasia,Murraya,Clausena,Clycosmis,Aegle,Afraegleは接木不親和であった。 4.ユズ,ナツダイダイ,スイートオレンジ,シークワーシャーなどのカンキツ属を台木とした場合,台木によって活着程度は異なるが、Pleiospermium,Microcitrus,Atalantiaとの親和性がみとめられた。 5.Murrayaを台木とし、Clausena,Glycosmis,Severinia,Pleiospermiumを接いだ場合,いずれも活着せず,接木不親和とみなされた。Glycosmisの台木に Murrayaを接いだ場合も活着はみとめられなかった。
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