研究概要 |
1.in vitroで行うmicrograftingの方法について検討し次のことが明らかとなった. (1) 台木として暗黒下で育てた黄化実生と照明下の緑化実生を用いた場合前者の黄化実生の方が良く活着した. (2) 穂木の長さは活着率にはほとんど影響しなかった. (3) 播種後14日と21日の台木では,若い台木がよく活着した. (4) カラタチを台木とした場合,温州ミカンは明らかにMicrocitrus やSeveriniaより活着率が高かった. 2.in vitroの植物の順化について,液体,寒天及びゲルライトの3種類の培地,栓として通気性の良いサンキャップシート,通気性の悪いアルミホイル及びその中間のプラスチックキャップの3種類を組合せて供試し,検討した. (1) 植物体の生体重増加は寒天やゲルライトが多く液体培地が少なかった. まは,栓ではアルミホイルが多く,プラスチックキャップがこれに次ぎ,サンキャップシートが最も少なかった. (2) 植物体の外部形態は,アルミホイルの場合緑色が薄くvitrificationの傾向を示し,サンキャップシートでは緑色が濃く自然条件下の植物に似いてた. (3) アルミホイル区の植物は葉は厚かったが表皮クチクラや柵状組織が分化せず,海綿状組織の柔細胞で占められていた. これに対し,サンキャップシート区では葉は薄かったが,表皮クチクラや柵状組織が発達していた. プラスチックキャップ区の植物は両者の中間を示した. (4) サンキップシート区の植物は大部分順化できたが,アルミホイル区の植物はほとんどが枯死した. (5) 以上のことより,順化のためには,培養後期に通気性の良い栓を用いることが,有効であるとみなされた.
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