研究概要 |
1.モモ樹の生育に対する各種プルヌス属のわい化効果並びに接木親和性を調べた結果、最もわい化効果が顕著に現われたのは、スウメ台であり、供試した台木中では、ついでユスラウメ,ニワウメ,アメリカーナ及びアルメニアカーの順であった。実用的には、ユスラウメとアメリカーナが有望であると考えられた。 2.接木不親和性に関しては、サンドチェリーで不親和が認められた他、ニウメとアルメニアカーでは、個体により不親和性を示すものが認められた。これは、種子を利用したことに起因するものと考えられた。 3.栄養系を均一にして、しかも大量の台木苗木を得る目的で、比較的わい化効果並びに接木親和性良好と思われ個体を選び、その茎頂を利用して、組織培養を試みたところ、培地の種類ではMS培地よりWPMの方が置床培養期間とShooting期間では優れた。またその濃度を検討した結果、いずれも基本培地濃度の1/2でPrunus属植物の生育が良好であった。 4.茎頂培養期間中のオーキシンとサイトカイニンの最適濃度を検討した結果、MSとWPM培地の両者ともNAA0.01ppm/l,BA1ppm/lがPrunus植物の場合良好と思われるが、耐乾性に強い植物の場合、Shooting期間で枯死する場合もあり、さらに検討を要するものと思われる。 5.発根条件の検討を行ったが、IBA0.01ppmで各種プルヌス属植物は、発根する場合の個体を見出したが、非常に不整一で、IBA20ppmに浸績のみで、培地中のオーキシンをフリーにしたほうが発根が良好であった。いずれにしても今後発根を安定的に得るための検討並びにその苗を馴化する条件の実験が必要であると思われた。
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