研究概要 |
わい化効果並びに親和性(接木)良好なプルヌス属選枝台木から茎頂を採取して,モモ台木として有用な遺伝形質をもったものとして,P.bessyi及びP.americana hについて,次の実験を行った. 茎頂培養を行うにあたって, 1) 置床培地における培養の無機成分の割合の問題 2) シューテング培地における適正オーキシン及びサイトカイニン濃度の問題 3) 馴化する組織培養苗の環境ストレスに対する調査 以上の諸点をベッシイとアメリカーナについて重点的に調べた結果,培養無機成分では,MS及びWPM培地のいずれも基本培地濃度の1/2程度で,両種しも,茎頂の増殖,シューテングが良好であった. シューテングの適正オーキシン及びサイトカイニンに関しては,アメリカーナ,ベッシイ両者とも,IBA 0.01ppm BA1ppm/lでシュートの伸びが大変によく,適正濃度であると考えられた. 発根条件に関しては,IBA25及び50ppmの基部浸績処理で,発根が90%認められ,実用化にあたって,今後は,さらに発根数を増加する処理を考えれば,さらに安定的に組織苗を供給できると思われる. ただ馴化条件については,組織苗を試験管から外部に移植すると,組織苗が環境の相違で枯死する場合が多く,生存率は40%以下と最終的になった. 今後は,この馴化条件を,さらに発根本数の多い組織苗を育成することに努めると共に,馴化の環境賢件を多湿な装置内で順次環境に馴れるような条件を組み入れるなど改良条件を検討する必要があると考えている.
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