研究概要 |
Project【I】.飼料タンパク質源によるオリゴメチオニン補足効果の差異と膵プロテアーゼ分泌(acute response):(1)8%カゼイン(Cas)に0.3%オリゴメチオニン(【OM_(0.3)】,重合度6〜7)を補足すると離乳ラットの成長が飛躍的に改善されるが、10%分離大豆タンパク質(SPI)ではその補足効果はほとんど認められなかった。(2)3%OM(【OM_3】)添加実験の場合C・【OM_3】で初日からMet(M)過剰毒性による成長低下が見られたが、S・【OM_3】では逆に成長が改善された。(3)25%Cas,又は25%SPIで飼育し1日絶食させたラットにC・【OM_3】,S【OM_3】を投与すると、30分後の門脈血Met濃度はC・【OM_3】がS・【OM_3】より有意に高かった。又小腸内容物中のカルボキシペプチダーゼA活性(CPase)も同じ傾向を示した。(4)Metだけが8%Casと同レベルになるように必須アミノ酸を添加した50%米粉飼料(R),又は5%フィブリン飼料(F)に対するOMの補足効果を比較した。R・【OM_3】はR・【Met_(0.3)】より成長が改善されなかったが、F・【OM_(0.3)】とF・【Met_(0.3)】の補足効果に差がなかった。 以上の結果からOMの補足効果、及び過剰毒性発現の差異は飼料タンパク質の膵外分泌応答の違いによると推定された。今後施術動物を使って、その機構の解明について実験を進める。 Project【II】.OM摂取によるCPase誘導機構(Chronic response):(1)C,CO【M_3】S,SO【M_3】で飼育し1及び2週間目の膵プロテアーゼを測定した結果、OM摂取群のプロテアーゼ特にCPase活性が有意に高くなっていた。(2)C,C・【OM_3】,C・【Met_1】で飼育したラットにCO【M_3】を投与した結果、30分後の門脈血Met濃度はあらかじめC・【OM_3】を摂取して来た群が有意に高かった。S,SO【M_3】で飼育したラットについても同様の実験を行ったが、同じ結果が得られた。 以上の結果から、OMを長期摂取し続けると膵CPaseの合成が亢進し、OMの消化性が増すと推定された。今後、他のオリゴペプチドについても同様の実験を行い、更に胆汁酸や消化管ホルモン分泌との関係も調べ、その機構の解明を行う。尚、これらの実験で、購入したHPLC,恒温セルが非常に有効であった。
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