研究課題/領域番号 |
61480058
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
東江 昭夫 広島大, 工学部, 助教授 (90029249)
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研究分担者 |
山下 一郎 広島大学, 工学部, 助手 (20144884)
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キーワード | BCY1 / cAMP依存プロティンキナーゼ / 調節サブユニット / Saccharomyces cerevisiae / クローニング |
研究概要 |
酵母のcAMP依存性プロティンキナーゼ(AKase)のホロ酵素は、調節サブユニット(R)と触媒サブユニット(C)が、それぞれ二つづつ会合したもので、不活性型である。【_cA】MPがRサブユニットに結合すると、活性型のCサブユニットが遊離され、これにより燐酸化された蛋白質が、生活環の進行や遺伝子発現を調節する。Saccharomyces cerevisiaeのbcy1-1変異は、Rサブユニットの代謝に係る突然変異として分離された。我々は、bcy1-1変異を相補するDNA断片をクローニングした。Bcy【1^+】活性を持つ約2KbのDNA断片の塩基配列をM13法により決定した。その中に、一つのORFが見出され、その塩基配列から推定されるアミノ酸配列は、ウシ心筋のAkaseのRサブユニットのアミノ酸配列とよく似ていた。この結果は、BCY1遺伝子がRサブユニットの構造遺伝子であることを予想させる。bcy1-1変異遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定した。BCY1とbcy1-1遺伝子間の塩基配列を比較すると、両者の由来した菌株の起源が異なるため、9ケ所で塩基置換が見出された。そのうち4コは、ORF内に生じたものであったが、いづれもアミノ酸の置換はなかった。野生型遺伝子と変異型遺伝子との間の種々のキメラ遺伝子をin vitroで構築し、【Bcy^-】株に導入し、その活性を調べて、突然変異部位が存在する領域を検索した。その中には、二ケ所の塩基置換が生じていた。そのうち一つにより、新たなATGが生じ、本来のORFの上流に短いORFが生じていた。酵母遺伝子では、5'-非翻訳領域にATGが存在すると、下流の遺伝子の発現が妨げられることが知られており、bcy1-1変異は、この種の変異と考えられる。site-directed mutagenesisの手法を用いて、新たな変異を誘発し、変異遺伝子の表現型の調査を開始した。
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