研究概要 |
1.研究林分の設定 山形大学演習林 17林班内に、ブナノキ主伐後役20年経過した研究林分を設定(林分【I】:【II】)。本林分は主伐に際して小径級のブナノキが保残された。次に同林班の壮齢林内に調査プロット2個を設定(プロットA,B)。さらに3林班壮齢林内に面積12haの固定研究林分を設定(林分【III】)。 その他演習林外の研究林分については概況調査を終えた(秋田県内)。 2.研究林分の測定 林分【I】.【II】については全立木を伐倒、樹幹解析により生長経過を解析。プロットA.Bからそれぞれ数本を代伐、同様の解析を実施。林分【III】については毎木の立木位置、胸高直径を測定し、樹冠階層区分を行った。本林分の測定は次年度も続行し、樹冠投影図作成にも着手する。なお微地形は測定済。 3.既往の調査資料の収集 国内、国外(主として西ドイツ)の調査資料の収集と解析。 4.得られた知見 (1)主伐の際に保残されたブナノキは主伐後上長生長が急速に大となる。 (2)大低木の多くは幼齢時の上長生長がブナノキを上まわるが、間もなくゆるやかとなって、直線的生長経過のブナノキに追い越される。ただしリョウブ、マンサクなど、群状に発生する大低木はブナノキの生長を妨げる。 (3)ハウチワカエデの生長はおおむねゆるやかで、保残木であっても主伐後発生したブナノキに追い越される。 (4)ブナノキ二次林は、更新直後一時大低木にブナノキが圧倒されるが、低木階を抜け出ると従高木類との競合段階に入り、その後はブナノキ同士、あるいは他の優高木との競合段階に入る。それぞれの段階での適切な保育方法が望まれるところである。
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